平成が始まった日に生まれた、29歳。 時代の終わりと共に死にたいと思った。 「時代を背負った人間は、必ず古くなっちゃうんだよ」帯に書かれている言葉に惹かれて。 普段手に取らない小説を手に取りました。 安楽死が認められた世界が見てみたかった。 それに、私は主人公と同い年です。 著者は毒舌炎上コメンテイタ― 古市憲寿(ふるいちのりとし)さん。 デビヴィ夫人のお食事会を「ハロウィンパーティー」と言ったら炎上し、 喧嘩していました(笑)
【目次】小説「平成くんさようなら」
① あらすじ
② 安楽死が合法化されているところだけ違う
③ 平成くん、安楽死「お別れ会」へ取材にいく
④ 安楽死が合法化されるとどうなるか?
⑥ さいごに
① あらすじ「平成くん、さようなら 」古市憲寿 帯より
平成を象徴する人物としてメディアに取り上げられ、 現代的な生活を送る「平成くん」は 合理的でクール、性的な接触を好まない。 だがある日突然、 平成の終わりと共に安楽死をしたいと恋人の愛に告げる。 愛はそれを受け入れられないまま、二人は日常の営みを通して、 いまの時代に生きていること、死ぬことの意味を問い直していく。 なぜ平成君は死にたいと思ったのか。 そして、時代の終わりと共に、平成くんが出した答えとは?帯より引用
② 安楽死が合法化されているところだけ違う
物語は、安楽死が認められた日本に生きる29歳のカップル。 仕事も、お金も、いい部屋にだって住んでいる。 私からみれば羨ましいくらい、 何も不自由のない生活をしている幸せそうな同棲カップル。 突然、「安楽死ししたい」と恋人の愛に告げる平成くんと、 恋人の愛(女性)目線でのストーリーが始まる。③ 平成くん、安楽死「お別れ会」へ取材にいく
平成くんは、荻野目和子さんの安楽死お別れ会に取材にきた。 別室でモニタリングする平成くんと恋人・愛。 安楽死って一体どういう方法なのだろう?荻野目さんの腕に点滴が刺された。 このタイミングではまだ薬物は投与されていない。 医師が荻野目さんに「黄色いボタン」を手渡す。 このボタンを押すと点滴の管が開き、 身体に致死薬が周り仕組みだという。 ※P81より引用この後、荻野目さんは楽に死ねたわけでもなく、 数分苦しみ、亡くなったそう。 安楽死が合法化され、流行れば 薬物が不足し、代替品になる。 その結果、苦しむ場合もある。 それに、荻野目さんは本当は死にたくなかったのではないか? 家族に安楽死制度で殺されたのではないか? そういう問題も新たに発生するということです。
④ 安楽死が合法化されるとどうなるか?
安楽死は現在、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、 スイス、カナダ、アメリカの一部の州で合法化、実施されているそう。 国内の死因の約4%が安楽死に当たるオランダでは、在住者は保険が適用され無料となる。 「平成くんさようなら」にも、安楽死が合法化された日本には、 海外からの安楽死するために訪日する自殺ツーリズムが流行すると書かれていた。 現在外国人が安楽死できる国はスイスで 予算は旅費込で150万円~200万円だそう。 日本人が安楽死できるのは世界でスイスのみ 相場は約150~200万円⑤ 橋田壽賀子先生「安楽死で死なせて下さい」
渡る世間は鬼ばかりの脚本家、橋田壽賀子さんが一時にぎわしました。 安楽死の話題。 ほんとに、もう「生き抜いた!」というくらい生きた人で、 周りの人に迷惑(負担)をかけたくない、という意思でなら 納得できます。記者 橋田さんの安楽死に関する発言や著書『安楽死で死なせて下さい』にあれだけの反響があったというのは、とりもなおさず、高齢になった時の「死に方」について色々と考えている日本人が多いということだと思うんです。 橋田 私には、家族も心を残した人もいませんから、寝たきりになったり、重度の認知症になったりして、人に迷惑をかけてまで生きていきたくない。ただ単純にそれだけです。 自分の死について考え始めたのは、88歳ぐらいからです。それまでは、自分が死ぬなんて思わないで、一生懸命仕事をしていました。だけど、そのぐらいの年齢になると、自分の体がしぼんできちゃうんですよ。それを見て「ああ、もうすぐ私も死ぬんだな」と実感しました。 そうなるまではせめて元気でいたいと思って、週に3回、1時間ずつトレーニングしたり、お医者様に通ったりしています。その代わり、「もういよいよだめだ」というときに、「お願いです。もう精いっぱい生きたんです。死なせてください」と言ったら「はい、いいよ」と楽に死なせてくれる仕組みがあるといいな、と。それが、私の考える「安楽死」です。 身寄りがいませんから、体が自由に動かなくなったら、世話をしていただくのにいっぱいお金がかかる。そう思うと、お金も自由に使えない。まあ、船の旅には行きますけど、「これだけ使って大丈夫かな」と、不安に思いながら使うわけですよ。保険みたいに安楽死があれば、お金が安心して使える。元気なうちに精いっぱい使えるんです。 しんどくなって、動けなくなって、楽しみもなく、人の役にも立たない、人に頼らないといけなくなった時に、第三者が本人の状態や意思を確認し、そのOKをもらえれば安楽死できる。そんな仕組みがあれば、楽しく遊べるのにな、と思って。 記者 本人の意志だけでなく、それをきちんと判定する人が必要だと? 橋田 もちろん、それはいると思います。本人の意志に関係なく、そういうことを決められたらかわいそうですもんね。 引用:橋田寿賀子さん「安楽死、もうあきらめました」